歴史が変わるとき、かぎを握る人が必ずいる...
『ALWAYS 続・三丁目の夕日』
監督・脚本・VFX
山崎貴氏インタビュー
山崎貴 TAKASHI YAMAZAKI
『ALWAYS 三丁目の夕日』に続き『ALWAYS 続・三丁目の夕日』の監督・脚本・VFXを担当。職業柄、寡黙な人柄かと思いきや、その軽妙洒脱な話っぷりが魅力的。過去に手がけた監督作品は『ジュブナイル』(2000年・監督デビュー作)、『リターナー』(2002年)がある。1964年生まれ、長野県出身。
写真:服部 佳洋 YOSHIHIRO HATTORI 構成/文:堀田 成敏 NARITOSHI HOTTA
続編は当たらない、そんな通説を吹き飛ばすように日々、観客動員数を更新続ける『ALWAYS 続・三丁目の夕日』。ヒット作の続編に込められた監督の意図は?来るべきVFX技術の未来像は? 舞台挨拶で韓国へ飛ぶ直前に山崎監督をキャッチ。
——『ALWAYS 続・三丁目の夕日』、ヒットの秘訣は?
2作ともターゲットを団塊の世代に的を絞っていたからでしょうね。1作目『ALWAYS 三丁目の夕日』で僕は、劇場に足を運ばない人たちを向かわせたかった。ただ、僕はあの時代を知らないから相当なハンデがあったし、たぶん団塊世代はCGが嫌いな世代なので(笑)、正直言って反応が怖かったですよ。
——それが2作続けて受け入れられた。
そうですね。団塊世代をピンポイントで狙うことで物語がぶれなかった。それが功を奏して、さらに上から下の世代までみんなが泣けて笑える内容に仕上がった。先ほども舞台挨拶に行ったんですが、小さい子からお年寄りまで全世代がいましたから。みんなで大声で笑ったり、劇場が一体となってそれはもう昭和30年代の映画館みたいでしたね。
三丁目の続きのタイムトラベル
——前作以上にVFX技術を駆使されてますね。
物語の中に組み込まれたVFXを追究したかったんです。例えば1作目では上野駅だけをバーンと見せるだけで満足してもらえたと思いますが、2作目はロケに行って撮影したような絵作りをしたかった。背景を見せるというより、物語の中に自然と溶け込んでいるような…。
——そういう意味では控えめな効果?
1作目を撮ったときに意外なことに気づいたんです。人の心に寄り添えるVFXってのもあるんだなと。決してハリウッド映画みたいに技術のすごさを前面に出すのではなく、どこか東洋的というか、人の心の奥深いところにタッチする。僕らにしてみればすごい地味なことなんですけどね。
——では今後もその路線で?
いえいえ、2作目のオープニングがそうであったように従来からのやりたい世界はそれはそれで楽しいですから。ちょっと別の世界ですね。でも、僕がすごく感じるのは「タイムマシンを手に入れたな」ってことなんですよ。映像を通じてどこへでも行ける、過去へも未来へも。もちろんスイッチひとつでどの時代でも自
由に行けるのではなく、みんなで一所懸命手作りしながら、ものすごく苦労するタイムトラベル(笑)。
——映画作りはタイムトラベルですか(笑)。
例えば廊下を通ってセットの建つスタジオに向かうとき、徐々に昭和30年代の町並みが現れてくる。そうこうするうちに全方位セットに囲まれて、感覚がおかしくなってくるんですよ。まして当時の衣装を着たエキストラの方を見かけると、「あ、この町は存在している」と思えてくるんです。意識がしっかりしたまま別の世界に行くって、こういうことなんだって(笑)。
監督自身の向かう先、そして注目の次なる一手

——立て続けにヒット作、今後の行方は?
正直言って、最初は『ALWAYS 三丁目の夕日』はやりたくなかったんです(笑)。だけど実際やることになって、ある意味流されてみたら意外なほど面白い場所にたどり着いた。もちろん自分で作りたいものがあって、それはそれで目指すのですが、同時に運命のようなものを感じるんです。特に『続・ALWAYS 三丁目の夕日』を撮ったあとでは。だから変わったことが身の回りで起きたときは、流されてみるのも面白いんじゃないかな、って最近は思うんです。次作ですか? 時代劇です。あの時代に行くアプローチの仕方を僕らは見つけた(気がする)ので、ちょっとだけ革命的な時代劇が作れたらいいな、と企んでいます。撮影が来年の秋頃から始まる予定で公開は再来年。またタイムマシンに乗ります。
——最後に。既に観た人、これから観る人にメッセージを。
2度目の鑑賞が面白いらしいですよ(笑)。本当にいろんな人からも言われるんです。確かに情報量が多い作品なので、1度限りでは全てを吸収できませんからね。役者さんも画面の端の方でくだらないことしてたり。みなさん、是非リピートを!