第1回 ル・マンの勝ち方、教えます

チーム・ゴウ・インターナショナル代表 郷和道氏

三段構えの三点セット

2004年6月13日。郷氏率いるチーム・ゴウが、世界一過酷な耐久レース「ル・マン24時間レース」で総合優勝を果たした。ワークス参戦でないプライベートチームがなぜ? その答えは郷氏のモチベーションと、スロットカーに夢中になった経験が活かされている。

プロフィール

郷 和道
Kazumichi Goh

1954年 東京生まれ

慶応義塾大学大学院修士課程終了後に博報堂勤務。
その後、マーケティング・コンサルタント会社を設立。1996年からチーム・ゴウ・インタナショナルとしてモータースポーツ活動を開始。同年の全日本GT選手権でシリーズ・チャンピオン獲得。2004年のル・マン24時間レースではヨーロッパ4カ国以外のプライベーターとして史上初の総合初優勝を飾る。

取材協力

PRIVATE TABLE 三田村
TEL_03-3449-2918
〒150-0013
東京都渋谷区恵比寿3-29-16 ABCアネックスビル5F
定休日:日・第1・3月曜日

夜空に浮かぶ東京タワーをバックに編集長タカヤスとル・マン談義。「自分のマシンがスケールモデルになるというのは、誰もができるわけじゃないから究極の贅沢ですね」と編集長。「実車を眺めていても生々しすぎて愉しめないけれど、こうしてミニチュアにすると自分達の戦いぶりを、俯瞰したり、観客の目線で眺めたりしていつまでも愉しめることができる」と郷氏。

夢見る原動力、それは模型が教えてくれた

——郷さんは幼少時代からクルマの模型が好きだったんですか?

小さい頃はクルマと鉄道とロケットですね。鉄道は値段が高いから子供には手が届かない、ロケットは空想の世界、というわけで小遣いで買えるクルマが現実的で(笑)。でもやっぱり一番影響受けたのは、田宮模型のスロットカーですね。スケールは今と違って1/24、我々の世代でブームになったのはたかだか2年ほどですけど。つい先日も、オークションで競り落としました。  クルマ単体というよりジオラマが好きなんですよね。1/1スケール、つまり本物はリアルなものでしょ。でも模型なら想像する余地が残っていて、自分でコントロールできる宇宙なわけですよ。そこがいい。写真でキレイな女性を見るのと実際に付き合ってみるのと…それと同じくらい差がある(笑)。  なにかを成し遂げる人って夢が必要ですよ。はじめに「こうしたい!」と思わないと。そのためには夢を見られる原動力が必要で、僕には模型やスロットカーがそうだった。今だと“模型好き=社会に順応できない人たち”みたいな風潮だけど、決してそうじゃない(笑)。

——幼少時代の記憶や経験が「ル・マン24時間レース」と関係を?

スロットカーをやったことあれば、その経験と知識で現実のレースもできますよ(笑)。実際、ル・マンというのはものすごく考えることが必要、それには想像力ですよ。クルマが走っている。そんなのはほんの一部で、ドライバーだけでなくスタッフ全員の高度なオペレーションが重要なんです。ル・マンは組織論。だから僕がやったことは、サンダーバードの秘密基地を作ったようなもの。ピットのどこに何を配置して、スペアはどれだけ用意するか。戦略ですよ。チーム編成をビジネスとして考えると面白くないわけ。だけどサンダーバード的な発想で考えるとものすごく想像力が高まる。仕事として考えるか、趣味として考えるか。その違いですね。  僕がル・マンで優勝できたモチベーション、それは「勝ちたいから」。だけど、メンタリティーは想像力がぶっ飛んだ世界ですよ。模型の世界に非常に近い。そしてなによりも突き抜けること、ブレイクスルーが必要。よく自己啓発でブレイクスルーを、とかありますけどそんなの簡単です。夢とか想像力を働かせればいい。夢と現実をうまく操作すると、何かをやるときに大きなブレイクスルーにつながるんです。  僕の場合、レースをやると模型に置き換えてみたりします。そういう意味で模型の世界って、自分の人生に大きな影響を与えてくれましたね。

2004年のル・マンを制したチーム・ゴウのアウディR8。1/24スケールのハンドメイドモデルで内側にラップチャートが印刷されている特別製パッケージに収まる。当時マシンのカラーリングはジウジアローのデザイナーに依頼したものの決まらず、コーディネイターを務めていた日本人デザイナーの案が採用された。また、マシンのカラーリングはドイツのアウディ・スポーツで行われ、細部はアウディAG・デザインマネージャーの和田智氏が手がけた。なお、このモデルは郷氏から次回のトップインタビューに登場する方へプレゼント。はたして次回登場するのはどなた? 乞うご期待!


INDEX

特集『歴史に人あり』

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特集『好奇心の源泉』

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1987-1990

Vol.1 三段構えの三点セット

Vol.2 日本人F1ドライバー夢の継承
12/27 UP



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